Original Article: 日本経済新聞
香港の人工肉の有力スタートアップ企業であるライトトリート。創業者の楊大偉(デビッド・ヤン)氏に人工肉市場の成長性や戦略を聞いた。
――先行する米国企業と今後どう競いますか。
「(業界の草分けの)ビヨンド・ミートなど米国勢は欧米市場に合わせて研究開発し、例えばハンバーガーのパテでは完成度が非常に高い。一方、当社は小籠包や担々麺などアジアの食文化に対応させて開発しているのが特徴だ。アジアの食品市場は巨大だ。2020年には出荷量が数万トンを超える規模になる」
――海外展開は。
「自前の工場ではなく、世界各地で他社に委託するかたちで生産量を増やす。(設備や資金の豊富さではなく)材料配合や製法など技術の優位性を築くことを優先する。販売は小売りや飲食チェーンと積極的に提携して増やしたい。(新規株式公開などの資金調達は)企業の発展とエコ飲食を推進するものなら、あらゆる手段を排除しない」
――人工肉は社会をどのように変えますか。
「(大きな環境問題の一つである)畜産業の飼育過程で排出される莫大な量の温暖化ガスを削減できる。我々はすべての人をベジタリアンにしようとしているのではない。動物肉の消費の割合を少しでも減らし、環境負荷を軽減するのが大きな目的だ」
デビッド・ヤン氏 香港生まれ。98年、米コロンビア大卒。20代で自ら菜食を始め、12年に「エコ飲食」に焦点を当てたレストランなどを香港で創業。現在43歳。